商品写真撮影のいろは(1)ー照明・背景編ー

 カタログやネットショップで使用する商品写真は、商品の魅力を消費者に伝えるためにはとても重要なポイントとなります。今回の技術解説では、商品写真を撮影するための基本的なテクニックと、必要な機材について、土鍋の撮影を例として解説します。

1. 照明(ライティング)

 商品写真を撮影する場合は、窓からの外光はカーテン等でしっかりと塞ぎ、十分な明るさの照明器具を使用し、安定した光環境で撮影することが大切なポイントです。

■内蔵フラッシュは使用しないこと

 陰影のないのっぺりとした写真になりやすく、強い影も出てしまうので、原則カメラの内蔵フラッシュはオフにします。

■部屋の照明は消灯すること

 余計な影が生じたり、撮影物に部屋の照明が映り込んだりするので、部屋の照明器具は消灯するようにします。

■基本の照明は真上から下へ照らします

 日中の太陽の光と同じ方向から照らすことで、自然に感じられるハイライトと陰影が生まれます。

■光源は蛍光灯がおすすめ

 大光量の電球形スパイラル蛍光灯(昼白色または昼光色、32W以上)がおすすめです。複数の照明器具を使用するときは、光源の色(色温度)は揃えるようにします。

■障子紙(ディフューザー)で光をやわらかく

 照明と撮影物の間にディフューザー(拡散器)を挟むことでやわらかい陰影が生まれます。 ディフューザーには障子紙が安価で効果が高く、おすすめです(図1)。

図1 照明器具とディフューザによる生じる影の違い

デスクライトにスパイラル蛍光灯で撮影。影の輪郭がはっきりとしているため、少々うるさく感じられます。
撮影用バンクライトで撮影。照明器具にディフューズ効果があるため、ある程度やわらかい影になります。
デスクライトに障子紙を挟んで撮影。撮影用ライトよりもやわらかい影になっているのがわかります。
撮影用ライトに障子紙を挟んで撮影。障子紙を挟むとデスクライトとの差はほとんど感じられなくなります。

■サブの照明

 真上からの照明だけでは暗い箇所がある場合は、2台目の照明を補助光として使用します。

■レフ板(反射板)

 2台目の照明の代わりに、レフ板を使用することで同等の効果が得られます。レフ板は100円ショップのスチレンボードやアルミシートで簡単に自作することが出来ます(図2)。

図2 レフ板を使用した撮影

スチレンボードにアルミシートを貼った自作のレフ板。折りたたみ構造にすることで自立させることができます。
レフ板を使用することで、下部の黒くつぶれ気味だったシャドウ部分を、明るく持ち上げることができます。
図3 グラデーションを背景に使用すると奥行き感が出ます。

2.背景

 商品写真の背景には、紙や専用の背景シートを折り目やシワが出ないよう大きくカーブを付けてセットします。

■基本の背景

 撮影物を引き立たせるために、商品写真の背景色には無彩色(白灰黒)を使用するのが基本です。撮影物が背景に埋もれてしまわないように背景色を選択しますが、清潔感やシンプルさがほしいときは白を、高級感が欲しいときは黒を選択するといった選び方もあります。

■グラデーションの背景

 背景色を黒から白のグラデーションにすると、どんな色の撮影物にも対応でき、また背景に奥行き感が出るのでおすすめです(図3)。グラデーションの背景シートが販売されていますが、厚手の紙にプリンターで印刷することで簡単に自作することもできます。

■テーブルを演出

 撮影物の下に板を敷くことで、テーブルにのっているような写真が簡単に演出できます。また、白木の板で清潔感を、黒い石版で高級感をといったイメージの違いを簡単に表現できます(図4)。

図4 テーブルの演出

撮影物の下に板を敷いて撮影。テーブルにのっているような演出ができます。
白木のテーブルにのせることで、清潔感のあるイメージが表現できます。

■少し工夫を加えた背景

 風景写真をぼかしたような背景を自作すると、屋外で撮影したような効果が簡単に得られます(図5)。布や壁紙などを背景に使用するとまた一味違った雰囲気を演出できます。商品のイメージ写真を撮影するときに有効です(図6)。

図5 屋外撮影のような演出

風景写真をぼかした画像を印刷した紙を背景にセットします。
屋外で撮影したような印象の写真になります。

図6 表面の質感をクローズアップしたイメージ写真

 以上、照明と背景についてポイントをかいつまんで紹介しました。今回紹介した機材や小道具類は流用や自作することも可能ですが、最近は廉価な撮影用機材がネット通販等で多数販売されています。手軽に機材を揃えることが可能になっていますので、一度ご検討ください。

 次回はカメラの設定や画像処理について解説する予定です。

■問い合わせ先

繊維・高分子担当(長浜庁舎)
TEL 0749-62-1492