繊維のいろは(1)―繊維から糸までー

 繊維とは、細くて長いものの総称で、その繊維を1本、または複数束にすることで糸になります。また、糸や繊維から作られた薄くてある程度の強さのある平板状の繊維製品を布といいます。
 今号では、繊維から糸までと称してそれぞれの種類や構造、作り方などを一本の繊維がどのように糸になるのかを説明します。
図1 S撚りとZ撚り
図2 単糸と双糸(諸糸)
図3 紡績

■繊維って何??

繊維は大きく天然繊維と化学繊維の2つの種類に分けることができます。

天然繊維

植物繊維

綿 棉の種子の表皮細胞が成長したもの(セルロース)

幹や茎などの組織を水に浸け腐らせた後に残ったもの(セルロース)
動物繊維 蚕の幼虫が繭を作りだすために吐いたもの(フィブロイン)
羊毛 羊の体毛(皮膚細胞の一部が変化したもの)(ケラチン)
鉱物繊維 石綿 蛇紋石の一種

化学繊維

再生繊維 レーヨン ビスコース法によって木材パルプ(セルロース)から作られる
  キュプラ 銅アンモニア法によって短い綿(リンター)から作られる
半合成繊維 アセテート  木材パルプ(セルロース)をアセチル化して作られる
合成繊維 ポリエステル テレフタル酸とエチレングリコールを縮合して作られる
  ナイロン

ナイロン6:ε-カプロラクタムを開環重合して作られる

ナイロン66:アジピン酸とヘキサメチレンジアミンを脱水重縮合して作られる

  アクリル アクリロニトリルを主成分として重合して作られる
無機繊維 炭素繊維 PAN(ポリアクリロニトリル繊維)、またはピッチ(コールタール)を紡糸したものを蒸し焼きにして作られる

■繊維はどうやって糸になるの??

 糸には短い繊維を紡いだ紡績(スパン)糸と細長い繊維を引きそろえたフィラメント糸の2種類があります。

 紡績とは、綿、麻、羊毛などの比較的短い(長さ数〜十数cm)塊から糸を紡ぎ出す工程で、繊維の方向をそろえて細くし、撚りをかけることで糸を作ります (図3)。撚りによって繊維間の摩擦が増して糸が強くなり、方向によって、S(右)撚りとZ(左)撚りの2種類があります(図1)。また、一方向だけに撚られた糸を単糸、単糸を2本撚り合わせた糸を双糸(諸糸)と言います。双糸の撚りの方向(上撚り)は、単糸の撚り方向(下撚り)とは逆方向に撚るのが通常です(図2)。

 紡績糸は、短い繊維の集まりであるので比較的柔らかく、毛羽があってふっくらしているのが特徴です。

図4 操糸
図5 溶融紡糸

 フィラメント糸を作る方法は2種類あり、ひとつはまゆから生糸を取り出す方法、もう一つは化学繊維で作る方法です。

 絹は操糸という蚕のさなぎの入ったまゆを煮て繭糸を引き出す工程を経て生糸となります。(図4)。この時、糸の成分であるフィブロインの周りにあるセリシンがお湯でふやけて接着剤のような役割をし、撚ることなしに何本もの繭糸がくっついて生糸となります。

 化学繊維は、糸を作るにあたって、原料を重合し高分子化することで作られます。それが「材料をと(熔、溶、融、解)かして、引き伸ばして、固める」紡糸と呼ばれる工程で、表1のような方法がありますが、コスト面や環境への影響の点で、ポリエステルやナイロンをはじめ、現在生産されている合成繊維の9割程度が溶融紡糸法(図5)、スパンボンド法およびメルトブローン法すなわち融かす方法で作られています。また、アクリル繊維は溶液紡糸される繊維の代表です。

表1 いろいろな紡糸法

とかし方 引っ張り方 固め方 紡糸方法の例
融かす 巻き取る 冷やす 溶融紡糸
吹き飛ばす 冷やす

スパンボンド

メルトブローン

遠心力 冷やす 遠心紡糸

溶かす

(溶液紡糸)

巻き取る 冷やす ゲル紡糸
乾かす 乾式紡糸
沈殿させる 湿式紡糸
吹き飛ぶ 乾く+冷える フラッシュ紡糸
高電圧をかける 乾かす エレクトロスピニング

 

 化学繊維は紡糸しただけでは単なるプラスチックの繊維の束であるため、多くの場合、仮撚りなどの捲縮(けんしゅく)加工をほどこして繊維を縮れさせ、膨らみをもった糸にします。紡糸において化学繊維は、太さや形を自由に変えることができ、また、フィラメントを短く切ってステープルにしたりもします。この場合、ステープルは、綿などと同様に紡績によって紡績糸となります。化学繊維は、一般的に天然繊維にくらべ性能に対して価格が安く、衣料や産業資材に広く使われています。

■参考文献

  1. はじめてまなぶ繊維 日刊工業新聞社
  2. 繊維のおはなし 日本規格協会
  3. やさしい繊維の基礎知識 日刊工業新聞社

■問合せ先

繊維・高分子担当(長浜庁舎)
TEL 0749-62-1492