バルブのいろは(3)ーバルブの試験ー

 滋賀県には彦根市を中心に関連企業を含め約100社、従業員1,500名からなる全国で唯一のバルブ地場産地があり、水道用では全国シェアの50%以上を占めるほか、産業用、船用など様々なバルブが生産されており、当センターにおいてもバルブ実流試験設備を備えるなどバルブ産業の振興に取り組んでいます。
 そこで、本技術解説では3回にわたりバルブを取り上げます。前号までにバルブの構造と接続方法、材料を説明しましたが、最終回となる本号ではバルブの試験について取り扱います。バルブの製品としての品質、特性を保証するには試験・検査を行う必要があります。これらについて、以下に説明します。

1.バルブの検査

■検査規格

 バルブの性能・品質を保証するためには検査を行う必要があります。JISで定められるバルブの検査規格には、以下のものがあります。

  1. JIS B 2003 「バルブの検査通則」(対応国際規格: ISO 5208)
  2. JIS B 2005-4「工業プロセス用調節弁-第4部:検査及び試験」(対応国際規格: IEC 60534-4)

 上記1では、構造、寸法、外観、材料、圧力の各検査について規定されています。また2では、外観、寸法、耐圧、弁座漏れ、性能などの検査について規定されています。

■検査装置

 外観や構造などの検査については、目視などで行います。寸法検査については、ノギスやマイクロメータなどを用いる事が多いですが、当センターに設備する三次元測定機などの精密測定装置を用いる事もできます。

 材料の検査について最も基本となるものは、引張試験ですが、その他衝撃試験、硬さ試験などが行われます。これらについても、当センターの試験設備を用いることができます。

図1 固有流量特性線図
図2 流量試験システム
図3 バルブ性能試験装置

2.バルブの特性試験

 前節では日常の検査方法について述べましたが、開発段階においては、その特性が要求性能を満たしているかを実験により確認する必要があります。

 バルブのはたらきは、弁体の開度(バルブ開度)を変えることで流体の流れ易さを制御することにあります。ここで、バルブの流れ易さは容量係数で表され、容量係数とバルブ開度の関係を流量特性といいます。これらは、JIS B 2005-2 「工業プロセス用調節弁-第2部:流れの容量」で規定されます。

■容量係数

 代表的な容量係数に以下の式で表されるCv値があります。

Cv=Q/N √((ρ/ρw)/Δp)

 ここで、Qは流量、Δp はバルブ上下流の差圧、 ρおよびρwは使用流体および水の密度です。Qの単位にm3/h、圧力pの単位にkPaを用いた場合、Cv値を求めるための定数Nは、8.65×10-2です。

 また、容量係数にはCv値の他、Kv値、Av値などが有りますが、それらの違いは定義された際の単位系によるもので、以下の関係があります。

Kv= 8.65×10-1 Cv
Av= 2.40×10-5 Cv

■流量特性および固有流量特性

 バルブ開度と容量係数の関係を流量特性といいます。また、バルブ全開時の開度と容量係数をそれぞれ100%とした場合の相対的な流量特性を固有流量特性と言い、バルブの最も基本的な流体制御性能を表します。固有流量特性線図の例を図1に示します。

 図中(A)のイコールパーセント特性は、弁開度の増分と容量係数の増加比率が等しい特性で一般的な場合の流量調整に最も適します。(B)のリニア特性は 弁開度と容量係数が比例する特性で、配管抵抗が小さい場合の流量調整に適します。(C)のクイックオープン特性は、弁の開き始めで容量係数が急激に変化する特性で、遮断弁や一斉開放弁などオン・オフ制御の目的に適します。

 一般的なバルブでは、ボール弁やバタフライ弁は(A)、仕切弁や玉形弁(プラグ形)は(B)、玉形弁(円錐型)は(C)に近い特性を示します。

■損失係数

 バルブの特性値としては容量係数が最もよく用いられますが、配管の特性評価や流体力学の分野では次式で表される損失係数 ζ がよく用いられます。

ζ=2 Δp / ρ v2

 ここで、vは流速です。

 容量係数が流体の流れ易さを表すのに対して、損失係数は流体の流れ難さを表します。損失係数 ζ と容量係数Cvの関係は次式で表されます

ζ=21.38 D4 / Cv2

 ここで、Dは配管の直径を表します。

■流量特性の測定

 流量特性は図2に示す構成の流量試験システムにより測定します。図2の試験システムでは、左端より送液を行い温度、流量、供試品(バルブ)上・下流の圧力を測定し、供試品の容量係数を求めます。なお、上流側絞り弁もしくは送液に用いるポンプの出力を調整することで流量を、また下流側絞り弁を調整することで揚程あるいは配管抵抗に起因する下流圧を補償します。ただし一般には、流量や下流圧を変化させても容量係数は変化しません。

 東北部工業技術センターの流量試験システム(バルブ性能試験装置)の外観を図3に、、主な仕様を表1に示します。この設備では、呼び径50Aから200Aまでの実験用配管を準備しており、最大流量11m3/min(揚程0mの場合)での実験が可能です。

表1 バルブ性能試験装置の主な仕様

配管口径 50〜200A
直管距離 最大7m
最大流量

11m3/min(揚程0m)

4m3/min(揚程25m)

1.3m3/min(揚程100m)

■キャビテーション係数

 キャビテーションは、流れの中での流体の圧力差により泡が発生し短期間で消滅する現象で、バルブにおいては低開度で流速が大きくなった際に発生しやすいと言われています。キャビテーションは、その消滅時に弁体や配管に壊食(エロージョン)を引き起こすことが問題となります。

 キャビテーションの発生し易さを表す指標にキャビテーション係数があります。キャビテーション係数にはいくつかの計算式がありますが、いずれも、流量試験システムを用いて求めることができます。

3.まとめ

 これまで3回にわたって「バルブのいろは」と題してバルブに関する技術解説を行ってきました。
 当センターでは、バルブの性能評価に欠かせないバルブ性能試験装置を始めとして様々な試験・研究設備を開放しています。ご関心がありましたら下記の問い合わせ先までお気軽に連絡を頂ますようお願いします。

■問い合わせ先

機械・金属材料担当(彦根庁舎)
TEL 0749-22-2325