食品・バイオ

No. 症状/対処 質問内容   回答内容
1 異物・汚れ 食品中に異物が見つかりました。原因を解明するため赤外分光分析を行いましたが、食品由来のデンプンに由来するものか、包装材料に由来する段ボール片かが判別できませんでした。判別することはできますか。 ヨウ素液を反応させることにより、デンプンであれば紫色に着色しますし、段ボール片では着色しないのでので判別できます。本相談ではヨウ素液を反応させて顕微鏡で観察したところ、異物が着色されているのが確認されたので、デンプンに由来するものと推定できます。
2 異物・汚れ 液状の食品中に粘着状異物が混入していました。製造工程で使用しているグリスが混入したのではないかと推測していますが、確認できますか。 異物の赤外分光スペクトルを測定すれば、グリスかどうかを推定できます。異物を洗浄後、赤外分光光度計によりスペクトルを測定したところ、1000cm-1付近に大きな吸収をもつ多糖類特有のスペクトルが得られました。このことから、異物はグリスではなく、製品に添加している多糖類の増粘剤が凝集したものであると推定されます。
3 異物・汚れ 食品中に黒色異物が混入しているとのクレームを受けましたが、こ
れが何であるか、またなぜ混入したか調べられますか。
走査型電子顕微鏡(SEM)や赤外分光光度計(IR)で分析すれば、調べることができます。SEMを用いた元素分析から黒色異物は有機物のみから構成されていることを確認できましたので、IRを用いた構造解析を行ったところ、異物は糖類に類似した構造を有することがわかりました。食品中に含まれる糖類が焦げて黒色に変色したことが原因であろうと推定されます。
4 異物・汚れ 食品中に生物(動物)の断片と思われる異物が混入していました。混入した原因を究明するため生物の種類を判別したいのですが、どうすればよろしいか。 生物の断片であれば多くの場合遺伝子(DNA)が残っていますので、DNAを増幅して解析し、データベースに登録されている種々の生物種のDNAと比較することで、生物種の同定が可能です。このような生物種同定の受託試験を行う機関(企業)がありますので、紹介します。
5 異物・汚れ パンの中に茶色の異物片が混入していましたが、何であるかわかりますか。 電子顕微鏡(SEM)や赤外分光光度計(IR)で分析すれば、調べることができます。今回はIRを用いて測定を行った所、セルロースのスペクトルが得られたことと、その異物の形状から、原料袋の破片が混入したものと推測されました。
6 異物・汚れ 製品に付着した異物の分析は出来ますか。 赤外分光光度計(FT-IR)による測定では有機物の定性が可能です。また、元素分析装置付き走査型電子顕微鏡(SEM/EDX)による分析では、主に含有する元素の種類が分かります。
7 異物・汚れ 異物の混入があった場合、どのような機器で調べればいいでしょうか。 異物の大きさや形状などの外観によりますが、まずは有機物か無機物かの判断を行います。X線マイクロアナライザー付き走査型電子顕微鏡や光学顕微鏡などで、試料形状や元素組成を確認します。次に有機物の可能性が高ければ、赤外分光光度計(FT-IR)により有機物の特定を行います。
8 異物・汚れ 食品中の異物が何か調べたい。 食品メーカーの方から、「一般消費者から食品中の異物について苦情があり、原因を究明したい」と相談がありました。設備利用により、赤外分光分析で異物を測定していただいたところ、フッ素樹脂であることが判明しました。フッ素樹脂は一般消費者のところで混入する可能性は低く、また製造設備としてはよく用いられていることから製造時に混入した可能性が高く、再発防止のためにも製造設備の確認を行った方が良いとアドバイスしました。
9 異物・汚れ 食品中の小さな異物がカビかどうか、また、カビでなければ何なのか調べることはできますか。 光学顕微鏡や電子顕微鏡で観察を行うことにより、菌糸や分生子の有無やその形状によりカビかどうかがわかります。また、カビではない場合、電子顕微鏡マイクロアナライザや赤外分光光度計により成分分析を行うことにより、異物の推定を行うことができます。
10 酵素分解 おが粉とヨシについて、セルラーゼによる分解のし易さの違いを調べたいのですが、方法を教えてもらえますか。 おが粉、ヨシの粉砕物をセルラーゼで分解し、一定時間に遊離する還元糖とグルコース量を定量することで分解のし易さを評価することができます。おが粉とヨシをセルラーゼで分解したところ、ヨシの方が分解しやすいことがわかりました。
11 殺菌 生野菜を紫外線も用いて殺菌しようと思いますが、有効性はいかがでしょうか。 紫外線照射による殺菌方法は、紫外線が当たる部分は殺菌できますが、葉の重なった部分や裏側、内部など当たらない部分は殺菌できません。野菜の種類や形状、殺菌したい箇所によって有効なものもあれば有効でないものもあるので、種類や形状、照射方法によって個々に判断する必要があります。
12 商品企画 商品のパッケージデザイン等の指導はいただけますか。 相談者の方と一緒に、類似商品との差別化、商品コンセプトの打合せを通じ、これまでにもパッケージデザインを手がけています。一度、ご相談下さい。
13 水分測定 医薬品に含まれる極微量の水分を定量分析したいのですが、良い方法はありますか。 極微量な水分を精度良く測定する方法として、カールフィッシャー法があります。当センターではカールフィッシャ水分測定装置を保有しておりますので、設備使用として測定していただくことが可能です。
14 生化学分析 食品中の酵素活性測定方法について教えて欲しい。 輸入食品素材中および、加工工程中の酵素活性の変化を測定する方法を知りたいとの相談がありました。規格化された測定法はないのですが、学術論文に報告されている比較的安定な測定方法を紹介しました。食品素材のため不均一さから測定値がばらつかないように、材料から一部を抜き取る方法に注意することで、定量的な評価が可能となりました。
15 製造方法 県内に古来から伝わる特産食品を、レトルト食品にして販売したいと考えています。レトルト化の方法等について支援していただけますか。 当センターはレトルト装置等食品用の加工機器は保有していませんが、食品加工方法等の技術相談・支援はできますので、一度来所して下さい。
16 製造方法 酵素法によるバイオディーゼル燃料の製造方法のメリット、デメリットを教えて下さい。 バイオディーゼル燃料(BDF)は、油脂(主に植物油)とメタノールのエステル交換反応により生成する脂肪酸メチルエステルを精製したものです。一般的には油脂とメタノールを水酸化カリウム等のアルカリ触媒の下で反応させることで製造されています。酵素法は触媒としてリパーゼという酵素を用いるものであり、触媒を繰り返し使える、常温で製造が可能、BDFの精製が容易、廃アルカリの処理が不要、副産物のグリセリンの純度が高い等の優れた特長がありますが反応が遅い、触媒の(初期)コストが高い、取り扱い方によっては酵素触媒が変性する恐れがある等のデメリットもあります。
17 成分分析 食品中のグルコース(ブドウ糖)を定量分析したいのですが、簡単に測定できる方法を教えて下さい。 グルコースの定量法としては、高速液体クロマトグラフによる分離分析や酵素法(主にグルコースオキシダーゼ法)、ソモギ-ネルソン法、ジニトロサリチル酸法等種々あります。この中で、酵素法は測定キットが市販されており、試薬の調製から測定まで非常に簡便にできますので、酵素法が最も適当と思われます。測定には分光光度計が必要ですが、当センターの設備を利用していただくことができます。
18 成分分析 セルロース系廃棄物(廃木材)を硫酸で分解していますが、分解物の分析手法を教えて下さい。 セルロース系廃棄物を酸で加水分解すると、主生成物としてグルコースおよびセロオリゴ糖が生成するので、グルコースは、グルコースオキシダーゼを用いた比色法、グルコースおよびセロオリゴ糖を併せた還元糖はソモジーネルソン法あるいはジニトロサリチル酸法で定量できます。オリゴ糖の組成分析が必要な場合は、高速液体クロマトグラフで分析を行うことができます。
19 成分分析 試料中の硫黄量を測定することは出来ますか。 試料を酸等により溶解し、その溶液中の硫黄元素を高周波プラズマ発光分析装置(ICP)により測定すれば、定量が可能です。試料の性状によって測定手法が異なりますので、ご相談下さい。
20 洗浄評価 食品原材料製造ラインの洗浄度の評価は出来ますか。 洗浄度の評価トレーサーを何にするかにより、分析・評価方法が違ってきます。例えば、無機元素(Ca、Fe,P、Kなど)をトレーサーにする場合には、各種条件で洗浄した洗浄液をICP発光分析装置で分析することにより、残留・汚染元素の有無や推移を確認することが出来ます。これにより、必要十分な洗浄工程を設定することが出来ます。
21 微生物同定 (繊維の)製造工程で微生物が原因と疑われるトラブルが発生しましたが、原因の微生物の確認はできますか。 問題となっている部分を位相差型の光学顕微鏡で観察すれば、微生物の存在を確認することが可能です。この場合、現状が変化しないように採取し、冷蔵・冷凍保存して当センターまで持参して下さい。更に詳しく微生物の種類を調べるには、遺伝子分析により微生物の種類を特定できる受託機関があります。
22 品質管理 バイオディーゼル燃料を製造していますが、製造過程における品質管理を行う方法を教えて下さい。 種々の管理項目が考えられますが、原料から製品への変換率の管理が重要と考えられますので、原料であるトリグリセリドと生成物である脂肪酸メチルエステルとの濃度を管理することを提案します。両物質とも液体クロマトグラフにより濃度を分析することができますので、その分析手法・条件についても支援させていただきます。